崖の上のポニョは死後の世界だった!? ジブリが仕掛ける怖い都市伝説

スタジオジプリ、宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」以来7年ぶりに原作・脚本・監督、全てを務める映画「崖の上のポニョ」。

人間になりたいと思う<さかなの子 ポニョ>と5歳の男の子の心温まるファンタジーですが、その物語の影に、恐ろしい世界が隠されていると噂されています。

「実は死後の世界の話」と噂されるその実態を探ります。

舞台は死後の世界?

 

2008年7月公開、スタジオジプリ制作長編アニメショーンです。

<さかなの子ポニョ>が5歳の少年、宗介(そうすけ)に助けられる場面から物語は始まります。

宗介に恋し、人間界で暮らすことを決めたポニョ。

しかしその話を聞いた、海の世界は大混乱です。

ポニョを連れ戻すべく、人間界に大洪水をおこします。

そんな物語の中に死後の世界では?と思わせるいくつかの描写があります。

:ポニョと宗介は舟で漂っている赤ん坊連れの家族に遭遇します。

この家族は大正時代の家族だと明かされています。

つまり彼らは亡くなってから成仏できずに永い間彷徨っていると思われています。

:ポニョと宗介は津波から逃れるため、高台に繋がるトンネルを抜けようとします。
しかし、この時人間の女の子になりかけていたポニョが魚に戻ってしまいます。


この事から、このトンネルがあの世と現世を繋ぐものだと解釈できます。

:トンネルの入り口に地蔵さまがいました。

お地蔵さまは道祖神として道に置かれ子供を守る菩薩として有名です、この事から宗介はすでに死んでいると推測されます。

:津波が宗介の町を飲み込みました。

しかし住人はみんな無事です。

老人ホームの座ったままの老人たちは生還後急に足が動くようになったり水中で呼吸ができるようになっていますが、大人たちは誰一人としてその事を不思議に思いません。

宗介は不思議に思いますが母リサは「今は不思議だけど後でわかるわ」と意味深な事を言います。

これらの事から、そもそも全員が既に死んでいるのではと推測されます。

「月」が印象的な作品の陰影

映画ではオープニングから象徴的なが登場します。

月は少し大きく、気がつくと登場する毎にその存在が大きくなってきます。

宮崎監督は、

世界のバランスが崩れたため、月が接近し地球が崩壊の危機に襲われている

と述べています。

月の接近で引力バランスが崩れ、海面上昇が起こります。

そして街は海中に沈んでしまいます。

しかしこの物語で月が意味するものはそれだけでしょうか?

月は、昔から、女性の象徴です。ポニョの母親グランマンマーレも登場はいつも夜で、月光に照らされているような光を浴びています。


月光は人間の精神を左右するとも言われます。

満月の夜にはj自殺者が多いとか、人間の精神に変調を及ぼすという説もあるほどです。

月齢と潮汐の関係は、人間の生死にも影響するとも言われているように、人間という生命体は月によって支配されていると言っても良いでしょう。

この月に表されるように、夜の世界、死後の世界が暗示されているのかもしれません。

古代魚と波の表現


ポニョでは嵐により沈んだ町の中に多くの水中生物がでてきます。

これらはデボン記と呼ばれる、恐竜や単弓類のような陸上生物が地球を支配していた時代よりはるか昔にあった水中生物が地球を支配した時代に存在していた

ボトリオレピスディプノリンクスのような古代魚だと言われています。

絶滅したはずの古代魚が出てくるということは、恐らくこの世界の住人ではない。

死後の世界の可能性が非常に高いと思われます。

また、古代魚だけではなく独自の表現で描かれた「波」も一種の生物ではないかと言われています。

つまり、人類が住む世界はポニョたちの住む「死後の世界」に支配されてしまったという解釈があってもおかしくはありません。

水没する町

 

映画では水没した街が描かれています。

このことに関して宮崎駿さんは

悲劇性よりも子供のころにわくわくした感覚を描きたかった」と語っています。

宮崎監督は「水没した街」という描写を偏愛しているところがあり、

過去の作品「天空の城ラピュタ」や「ルパン三世カリオストロの城」でも登場します。

これらと「崖の上のポニョ」に共通しているのは、透明で澄んだ水であると言う事です。

東日本大震災等の映像で見たことがあると思いますが、津波による洪水の水は真っ黒な濁った水です。

このようなリアリティな表現ではなく透きとおる綺麗な水に変えたのも現実的では無くファンタジックな甘美な死、つまり死後の世界を暗示したのではないかと考えます。

死後の世界説を裏付ける決め手


本作の音楽を担当した久石譲さんは「崖の上のポニョ」を手掛けた事について以下のように語っています。

死後の世界、輪廻(りんね)、魂の不滅など哲学的なテーマを投げかけている。でも、子供の目からは、冒険物語の一部として、自然に受け入れられる。この二重構造をどう音楽で表現するか。そこからが大変でした。

崖の上ポニョのテーマは「死後の世界」であることを語っています。

しかし、監督の宮崎駿さんは
死は匂うけど、そういうものの中に同時に自分たちが描きたいキラキラしたものもあるから。あんまり生と死っていう言葉を使いたくないですよね。

というようなニュアンスで言葉を濁しています。

テーマの一つとして、「死後の世界」があるのは間違いないけど描きたいところは「生と死」では無いと言う事なのかもしれません。

ワーグナーの「ワルキューレ」とポニヨ

宮崎駿監督は構想を練る際のBGMにワーグナーの歌劇「ワルキューレ」を好んで聞いていました。

フランシス・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」のBGMで、映画は知らなくても音楽だけは聴いたことがある人もいるのではないでしょうか。

それがこの作品には影響を与えています。

ポニョの本名は“ブリュンヒルデ”という設定です。

それはワルキューレという空駆ける9人の乙女たちの長女の名前から来ています。

ワルキューレは北欧神話では戦死者を神殿に導く役割を担います。

またこの歌劇の世界観が、今まさに終わりの時を迎えようとする神々の世界が舞台であること。

歌劇に登場するヴォータンは神々の長で、世界の終焉を回避しようと奔走する設定。

それはポニョの父親フジモトの姿がどこかかぶるものがありますね。

さらにワーグナーはあのアドルフ・ヒトラーが愛用していた事でも有名です。

どこか、興奮しアドレナリンがふつふつとあがってくるのがBGMとしてマッチしているのかもしれません。